このサイト内で本ページへのアクセス数が突出しており、それはそれでSONYさんに申し訳ない気持ちもありますので、今現在様々な撮影でNX5Jを愛用させていただいていることを始めに付け加えておきます。
【2012.3.3追記】
この問題の概要は、ビデオカメラでピントを合わせる一般的な方法である「ズームを最望遠にして被写体にピントを合わせ、必要なサイズに引いてから撮影をする」ということができない、ということです。
正確な技術用語ではありませんが、通称"引きボケ"と呼ばれる現象で、レンズ交換式のカメラにてフランジバックの距離調整がズレているときに起きる現象です。
はじめに、この問題に関する経緯をざっくり書いておきます。
1.2010年10月上旬、地元の業者さんからNX5Jを購入。動作チェックをしたところ、無視できない程度の"引きボケ"が起きることを確認し、業者さん経由で札幌のSONY修理サービスに持込み。
2.数日後、業者さんより「SONY修理サービスで確認したところ、NX5J本来の性能が出ていないので新品交換する」との連絡。
3.数日後、新しいNX5Jが納品されたものの、1台目と同様の"引きボケ"が発生。業者さんに連絡したところ、SONYの札幌サービスから「もう一度新品交換させてほしい」との申し出があったとのこと。
更に「万全を期すため、届いた新品を札幌のサービスで確認してから納品したいので、一度開梱・動作確認をしてから納品したいので了承いただきたい」とのことで快諾。
4.約1週間後、札幌のサービスで正常動作確認済みのNX5Jが納品。しかし、これもまた"引きボケ"が発生したため業者さんに報告。
5.報告後すぐに業者さんから連絡があり、SONYでのフォーカス確認は明るい環境で行っていて、絞りがある程度絞られていたとのこと。それに対し、こちらのテストは暗い映像編集室内で行っており、色味のテストではなかったので照明も焚いておらず、絞りは開放。そのため、フォーカスのずれが目立つのではないかとのこと。
設計部門に調査をしてもらうということで、ひとまずやり取りは終了。
私としては、この特性を知った上で気をつけながら使用すればさほど問題ではないので、そのまま本番の撮影で使用開始。
6.しばらく経ってから業者さんより報告があり、SONYからはこの件に関して公式な報告は出せないとのこと(というわけで、以下の記述は公式な回答ではありませんので念のため)。ファームウエアの更新はもちろん、修理対応でも治らないとのこと。治らないと言いつつ、仕様であるとも不具合であるとも言わないあたりは、大人の事情なのでしょう。不具合と認めてしまうとHDV機も含めて大量のカメラが対象になってしまうし・・。
他の情報源からはHVR-Z5Jも同じくらいずれるという情報もあり、私の勤務先でたまに使用するV1Jもよく調べると引きボケが発生していました(自分でカメラを回すときはPanasonicのP2ばかり使っていたのでV1Jは気にしていなかった・・)。
具体的にどれだけ問題になるのかは、このページの下の方で画像入りで載せております。
SONYを擁護(?)するならば、
・絞りをある程度絞れば広角側でパンフォーカスになるので、問題になりにくい
・このクラスのカメラは取材のサブカメラであったりして、多少のフォーカスのずれは問題にならない
・1/3インチCMOSの小さな面積にHD解像度で結像する高倍率(20倍)ズームのレンズは設計が大変なはず
というわけで、価格とSONYの技術力相応の仕上がりなのだと思います。
暗い場所で絞りを絞れないときは、使用するズーム位置で慎重にフォーカス合わせをする必要がありますが、最広角では無限遠へのフォーカスが1.6m表示あたりでくるので(個体差がある可能性有り)、夜景など被写体が点光源でフォーカスずれがばれやすい遠景撮影では注意が必要です。
以上、2010.12.20加筆・追記。
SONY HXR-NX5Jを導入

写真1 SONY HXR-NX5J |
DVCPRO HD記録のP2カメラは、そのデータレートの高さから長時間収録においてコスト的に不利であるため、リーズナブルに長回しできるカメラとしてHXR-NX5Jを導入しました。
ところが、納品されたその日に"引きボケ"と呼ばれる現象がみつかりました。レンズ交換式カメラでフランジバックの調整が不十分のときに発生する現象と似た現象です。
NX5Jなど小型のレンズ一体カメラは、ズームによるフォーカスの移動をメカニカルではなく電子制御で行っているはずなので、その辺の調整が不十分なのかな?、という感じです。
この精度はコストとのトレードオフであり、他社製のカメラでも仕様の範囲内で僅かにこの現象が発生することはあります(実用上はほとんど問題にならない程度)。
ですが、下記のとおり今回のNX5Jのずれ幅は尋常ではありません。
すぐにSONYに電話連絡し、販売会社経由でメーカーのサービスに見てもらったところ、初期不良ということで新品交換となりました。
ところが、その交換品でも全く同じ現象が発生したのです。
百聞は一見にしかずということで、交換後のカメラ(シリアルナンバーは「108**」)でテスト収録した映像の一部を掲載します。
■掲載した画像は、カメラスルーの映像をHD-SDI出力から取り込みました。
■フォーカスの山が分かりやすいよう、絞り開放で撮影しています。
■1/3インチカメラは被写界深度が深いので、フォーカスが合った状態の距離表示には多少の幅があります。
■緑枠内は、撮影画像の一部をピクセル等倍で切り出したものです。

画像1 遠方の被写体に最望遠でピントを合わせた状態。距離表示は180m。

画像2 フォーカスリングには触れず、ズームをZ50まで引いた状態。ややフォーカスが甘い。

画像3 フォーカスリングには触れず、ズームをZ30まで引いた状態。かなりフォーカスが甘い。

画像4 フォーカスリングには触れず、ズームを最広角(Z00)まで引いた状態。パンフォーカスに近い画角にもかかわらず、ややフォーカスが甘い。

画像5 ズームをZ50に戻し、フォーカスを合わせ直した状態。距離表示は6.5m。

画像6 ズームをZ30に戻し、フォーカスを合わせ直した状態。距離表示は2.7m。

画像7 ズームを最広角(Z00)にし、フォーカスを合わせ直した状態。距離表示は1.6m。

画像8 近距離での例。最望遠でピントを合わせた状態。距離表示は5.4m。

画像9 ズームをZ35まで引いた状態。かなりフォーカスが甘い。

画像10 ズームをZ35まで引いた状態で、フォーカスを合わせ直した状態。距離表示は1.5m。
ビデオカメラでは一般的な使い方である、「最望遠でピントを合わせて希望のサイズに引いてから撮影を開始する」という使い方が全くできないということになります。
暗い環境で絞りが開放に近い状況でズーム操作を伴う撮影では、ズームの操作に合わせてフォーカスを送る操作も必要になります。
オートフォーカスメインで使用する分にはさほど問題にならないと考えますが、放送・業務用の機材にしては廉価なカメラとはいえ、フォーカス周りの動作に不具合があるというのはちょっといただけません。
もう一つ声を大にして言いたいのは・・
専門誌でカメラに関する記事を書いてるライターさんは、ちゃんとテストして悪いところも正直に書いてほしいものです。"なんとかα"とかをたまに読んでいると、技術的に不正確だったり勘違いしたまま書いてる記事が散見されます。もちろん、役に立つ記事もあるのだけれども。
作成 2010.10.10
最終更新 2010.12.20

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